最初のCUI体験

 研究室にある10台ちょっとのgatewayサーバや計算サーバ、初めてアカウントを発行されたときは、tcshがログインシェルになっていて、lsした時に色すらつかないし、タブで補完も出来ないし、何しろ打ったコマンドの履歴すら保存できない。悲しいことにコマンドラインのインターフェースはそういう古典的で使いにくく取っ掛かり難いものなのだと思っていた。これが最初のCUI体験だった。今考えると最悪なユーザー体験だったと思う。emacsも最初使いにくくて最悪だった。

 ある日ギークな先輩がやってきて、なんでtcshなんて使っているのだと言われて、zshというナウくて賢いzshというシェルがあることを知った。秘伝のタレみたいな設定ファイルをコピペしてもらって使うようになった。emacsの設定ファイルももらった気がする。シェルやエディタは、変な命令書くと機能を拡張できることを知った。CUIのソフトフェアはそういうふうに拡張できるようになっていることが多い。今でこそ設定ファイルは数百行くらいになっていて、ベストではないけど実用上の不満はない。

 最悪なのはtcshじゃなくて、GUIで操作することが当たり前なのだから昔からのCUIももうちょっとましになってほしいといつも思う。例えば、こうして文書を書いているときにはGoogle IMEがかなり賢く予測変換してくれるけど、emacsでもGoogle IMEくらいまともにコンテキストを判断できる賢い補完を高速に使えるべきで、大学の授業とかでまっさらなemacsでプログラムを書かせたりするのはほぼ拷問に近い。最悪のプログラミング経験になって、プログラム書くことがエディタの操作という、全く本質的ではない部分で阻害されてしまうことが今世紀でも平気で行われている。それはとても悲しい。