1年ぶりの映画館で初めて3D映画を見た日

 グレート・ギャツビーを見た。原作はもちろん読んでいたが、なんだか翻訳文学というかあまりにも自分の生活とはかけ離れた華々しさと人間関係にストーリーをまともに把握できずに描かれる世界に入り込むことが出来なかった覚えがある。だから見る前まで、後は始まってからの序盤はそもそも物語をちゃんと理解できるのかというレベルでの不安が少しあったけれど、終わってみればエンターテイメントとしてすごい楽しめた。

 演出もやったら豪華で突き抜けた華々しさに哀しさがあった。ちょっとでもパーティーのシーンで、重低音の効き過ぎたグラブミュージック?みたいな演出は1920年代にあんな音を出せたのかなとは思った。ビートルズが日本に初来日した時に女性ファンの黄色い声でアンプの音が全く聞こえなかったという話をふと思い出して、スピーカーのテクノロジ的に現代っぽすぎる音でミスマッチのような気もした。しかしながら、エンタメに振り切って良い。

 物語の進行と共に、だんだんとギャッツビーの生い立ちが明らかにされていく様は見事で、幼き頃の赤貧の経験は、金への固執や執着心といった強迫観念として彼を駆り立てるという印象が強くあった。よく知らないけど、アメリカにかぎらず民主国家において繰り返される資本主義経済の浸透の歴史っぽい印象があった。もう一度翻訳で読みたい。

 “Reserving judgements is a matter of infinite hope."

                                                                      F. Scott Fitzgerald, The Great Gatsby.