小説家の「幸福」

 橋本治が小説家の幸福って何ですかみたいなテーマの短いエッセイ(著名な作家の一人として)で、こんなことを言っていたのが心に残ったのでメモった。

 そこに存在するのに気がついた時、それまではなんだか分からない光の点であったようなものが、突然「美しい星空」に変わっていた。どうも私の幸福感というものは、初めからそこに存在しているのに気づかないまま見過ごしていたものにある時ふっと目が向いて「ある」と認識してしまった瞬間に生まれるらしい。だから、頭の中に浮かんだ光景を「ある」と思って見ると、それがキラキラと輝いて幸福感が生まれる。

 「あ、こういうものがあったんだ」という発見が、私の幸福感の根っこにはあるらしい。

 だから、橋本は小説の背景描写 (実際には活字として描かれない部分を含め)をたくさん書いている。それは批評の対象にもならないから、好きに書ける、みたいなことを言っていた。残念ながら読んだことがないので今度読む。

  今日はずっと鉛筆を握っていたので疲れたのでキーボードを叩きたくなっている。とりいぞぎ。

新潮 2013年 05月号 [雑誌]

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背景を見ている幸福 橋本治