ぐっときた会話です

  今日、帰宅の途中、隣が三人組の女子高生だった。そのとき、文學界で書き下ろされた綿矢りさの短編を読んでいた。

 「わたしね、横浜線の車掌さんで、はひふへほの発音できなくて、『次は、はっはっしもと〜(橋本駅)』っていうひとめっちゃタイプなんだけど〜〜〜(笑)ってこの話需要無いよねごめん(笑)」

 だいじょうぶだよ、今のその会話っていうかノリ突っ込みやな、すごいぐっときたよって制服に特製の「ぐっときたシール」貼ってあげたくなった。女子高生の間では、会話における需要性や経済性といった強制力が作用するという貴重な知見を得られた一方で、そういった会話にぐっときてしまう彼女たちの存在もまた残酷である。

 綿矢りさを読んでいると女子高生の警戒心が解きほぐされるのかもしれないなと思った。一丁前な文化人類学者の気分であるが、ちょっと何言っているのかわかりませんね。