綿矢りさ

 綿矢りさ綿矢りさが夏くらいから好きになって、いま読んでいる『夢を与える』を読みきれば彼女の出した作品はすべて目を通したことになる。若くしてデビューした彼女は多作でなく、入門の障壁は低い。その文体は、ときどきのユーモアが小気味よく効き、爽快であるから身体によさそうである。それでも尚、ごくたまに、敬遠しがちな女性特有の熱っぽさや生ものっぽさが表出したときには、女性作家の本を読んでいるのだなという気分にさせられる。その生態の一端を覗き見ているかのようである。

 『夢を与える』は、223/320ページ読んだところで悲しくなってしまったので一旦閉じて綿矢りさの存在について考えることにした。横顔が可愛いなとか、いい腰だなとか、どんな恋愛をしたのか聞いてみたいな、と思った。綿矢りさである。