マックス・ウェーバー大先生

 『職業としての学問』を読んだ。解説と岩波文庫の広告がページの半分を占めていたと思う。

 この本が書かれたのは1919年のドイツで行われた講義だった。

 日本は、大正八年である。ギリシア軍がトルコ領のイズミルに侵入し占領し、カルピスの販売が開始された。アメリカ大陸では、サリンジャーが誕生したそんな時代だった。

このことは魔法からの世界解放ということにほかならない。こんにち、われわれはこうした神秘的な力を信じた未開人のように呪術に訴えて精霊を鎮めたり、祈ったりする必要はない。技術と予測がそのかわりをつとめるのである。

 『個体発生は系統発生を繰り返す』と言ったヘッケルが死んだのもこの年であるから、やはり学問の中心はドイツにあったのだろうと考えられる。そんなに間違っていない認識だと思う。