お湯

 日曜日の午前中だった。露天風呂に浸かりながら澄み渡る秋の透明感に包まれ、特筆すべきことはなにも考えず、ただお湯に浸かっていた。乾いて硬直してしまった肩や首筋に少しずつ源泉が染みこむ感覚は、どこか雪解けを思わせた。

 単純に肩が凝っていただけなのだと思う。せっかちなのですぐ湯から上がってしまう癖を直したいと思ったが、すでに脱衣所にあるロッカーの鍵を閉めたところだった。

 かつ丼を食べて家に帰った。もうすぐ月曜日が始まってしまう。もう一度露天風呂に浸かれば、日曜日を取り戻せると思った人は夢か小説の読み過ぎだと思う。もうすぐ月曜日だから。